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ほどき2周年企画ゲームブック的なもの

俎ほどきを■さないと出られない家

2020. 6. 16 公開

遊び方

まずは次の00の内容を読んでください。

示されているいずれかの行動を選択し、続く番号へ進み読んでください。

移動先で上記と同様の選択を繰り返します。

末尾に[ED]と書かれている所まで辿り着くとゲームエンドです。

繰り返し挑んで生還を目指しましょう。

​生還は1ルートのみです。

00

 

ある朝、あなたがなにか気がかりな夢から目をさますと、

自分の寝床の中ではなく、知らない部屋のベッドに寝かされていることを発見した。

ここは暗く、何が置かれているのか判然としない。

扉には曇りガラスがはめ込まれており、薄明かりが漏れている。

扉から脱出する→01

何もせず待つ→02

01

 

状況に混乱したあなたはすぐに起き上がり、扉を開けて出ていこうとする。

扉を開くと、そこでは男が机に向かって何かをしていた。

椅子を回して立ち上がり、こちらへと近づいてきた男は、

髪を伸ばして片目を隠していた。

「おやおや、思った以上に早く目が覚めましたね。どうされました?」

 

会話をする→03

殴りかかる→04

02

 

あなたは何もせず、ベッドに寝たまま様子を伺った。

暗闇に目が慣れてきた頃、扉の向こうから足音がする。

何者かがこちらへ近づいてくるようだ。

そのまま待つ→05
ベッドの下に隠れる→06

03

 

あなたは自分がなぜここにいるのかについて尋ねた。

「それについては一言では説明しがたいですね。

立ち話もなんですから、コーヒーでもいかが?」

男はあなたに椅子をすすめ、その前へ置いたカップに液体を注ぐ。

 

カップの中身を飲む→07

カップの中身を飲まない→08

04

意味不明な状況と、その原因であろう男への怒りのままに、あなたは殴りかかる。

拳は意外なほどあっさりと男の顎を捉えた。

が、しかし。

拳を受けた勢いのままに男の顔がぐるりと上下に反転した。

拳を引き抜けない。

いつの間にか禍々しい触手に変化した男の髪が手首を締め付けている。

目の前にある逆さの口が、三日月型に裂け、

人間のようで人間ではない尖った歯がのぞく。

「血気が盛んだ!いきなりそう来られると、この場で処理せざるを得ない!残念だ!」

顔の片側にはいつの間にか3眼が並び、言葉とは裏腹に喜色に歪んでいるようだった。

もがくあなたを意に介さず、全身が触手で覆われてゆく。

全身の骨肉がみしみしと圧縮される。あなたは血の泡を吹きながら意識を手放した。

14

05

あなたは薄目を開けてなんとか状況を視認する。
扉が開き、男が入ってきた。

男は髪を伸ばして片目を隠しており、何かを両手で持っている。

持ち物は大きなトレー容器らしく、一時片手持ちにして慎重に扉を閉め、

こちらに近づいてくる。

トレーには何かが乗っているようだ。


そのまま待つ→09

隙をついて逃げ出す→10

06

あなたは扉が開く前にベッドの下へ滑り込む。

幸いにも収納の類で埋まっていることもなく、十分に身を隠すことが出来た。

扉が開き、何者かが入ってくる。

足元しか見えないが、おそらく男性だろう。

男は扉から一歩入ったところで立ち止まり、しばらく部屋を見回しているようだ。

 

そのまま待つ→11

隙をついて逃げ出す→12

07

あなたは恐る恐るカップに口をつける。

意外にも普通のコーヒーの味がする。

「今日はペーパードリップで淹れてみたんですよ。

面倒ですけど、たまにはいいものですね」

自分がここにいる元凶だと思っていたこの男、実は悪い奴ではないのかもしれない。

なんだか拍子抜けだ。

「さて、人心地ついたようで。質問にお答えしましょう。

あなたがここにいる理由ですが、それは…」

話の続きを聞く→13

隙をついて逃げ出す→15

08

あなたは男の話を理解することより、相槌を切らさないことに注意を注いだ。

なぜなら口を止めたらカップを持とうとしないことを不審がられると思ったからだ。

口の中がカラカラに乾いた頃、男が黙り込んだ。

カップの中の液面は注がれた時のままだ。

恐る恐る顔を上げると、男は不機嫌そうな顔をしている。

「コーヒー、冷めちゃったじゃないですか」

突然、足元に何かが絡みつき、あなたを逆さ吊りにする。

足を強く絞める何かを見上げると、それは禍々しい触手だった。

触手は男が座る椅子の後ろから伸びており、あなたを軽々と持ち上げている。

「勧められたものを粗末にするのは感心しないね。

生返事ばかりだし…正直言って不愉快だ」

触手が勢いよくしなり、強烈な遠心力が血を頭に集める。

あなたはそのまま床に叩きつけられた。

 

14

09

あなたは何かが起こるまで待つことにした。

ベッドサイドまで来た男は、サイドテーブルにトレーを置く。

カチャカチャと音が鳴り、トレーには硬い小物が複数個乗っているらしいことを示す。

男がトレーに手を伸ばした次の瞬間、あなたは腕にチクリとした痛みを感じた。

理解が追いつかず遅れて腕を見る。

男が注射器を腕に刺し、液体を注入している。

この男は、何の予備動作も躊躇もなく、注射器を使ったのだ。

判断が遅れたあなたの身体は、すでに鉛のように重い。

ぼやける視界には、メスを構える男のシルエットが映っていた。

14

10

あなたは男が程よく近づいたところで、勢いよく飛び起きる。

腕を振り上げて男の持ったトレーを顔に叩きつけ、男の行動を奪った。

 

男を追撃→16

男を放置し、扉の外へ→17

11

あなたはベッドの下で何かのタイミングを待ち続けている。

ふと、身体に違和感を覚える。

緊張で気が付かなかったが、右脚の感覚がない。

脚の方を見る。

そこには、テニスボール大の球体が群がり、右脚と一体化している。

球体は目のような、あるいは口のような模様に覆われ、

ギュルギュルと不規則に回転している。

いつの間にやらあなたの周りは球体で囲まれ、次々に身体に取り付いては侵食していく。

痛みすらなく身体が失われていく恐怖に絶叫すると、

男がひょっこりとベッド下を覗き込んだ。

「あーあ、そんなとこ入っちゃって。

うちの掃除屋は優秀ですから、もうあなた助かりませんよ」

あなたの瞳は、やや残念そうな顔をした男を最期に映し、球体に飲み込まれた。

 

14

12

あなたに好機が訪れた。

男がクローゼットを開いて中を調べている。

今しかない。

そう考えたあなたは、慎重にベッド下から這い出て、

男に気づかれないように部屋から出た。

 

探索をする→18

出口へ向かう→19

13

 

話の核心に差し掛かろうとした時、あなたは抗いがたい眠気に襲われる。

重力に逆らえず机に突っ伏すと、カップが転がり落ちて割れた。

「よしよし、効いてきましたね。この睡眠薬は強力なのですが、

即効性に欠けるのが難点でね」

罠にかかったことを確信してももう遅い。

瞼が下がってくる。

「少々焦りましたが、我ながら機転が効いて助かりました。これで一安心だ」

あなたの意識はここで途切れた。


14

14

 

ここには何もない。

あなたの視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、そのすべてが存在しない暗黒だ。

それが意味するところは、あなたという存在の連続性が途切れたということだろう。

あなたは死んだのだ。

なぜあのような選択をしてしまったのだろう。
もし、もう一度やり直せるなら…
[ED]

15

 

男が言葉を吟味している隙をついて、

あなたはカップを男の顔めがけて投げつけ、一目散に逃げ出した。

迅速な判断を下し行動できたと自画自賛した矢先、あなたの足はもつれる。

走り出した勢いを乗せて、あなたはしたたかに顔面を床に打ち付けた。

「素晴らしい俊敏さだが、君はもうあれを飲んでしまったからね。

タイミングが悪かった」
歩いてきた男に頭と肩を掴まれ、強引に持ち上げられる。

明らかに人間の膂力ではない。鼻血がボタボタと顎から滴る。
「しかし弱ったな…コーヒーのシミって取れにくいんですよ、洗濯面倒だなこれ…

代償を払ってもらうぞ」

男は肩を押さえつけたまま、頭を上向きに力任せに引っ張る。

体の芯からブチブチと筋繊維が千切れる音がする。

あなたの頭は脊髄とともに胴体から引き抜かれた。

 

14

16

 

あなたはこれを好機とみて、男を懲らしめにかかろうとした。

しかし、男の顔からトレーが落ちた時、あなたの背筋は凍った。

男の髪は触手へ変化し、逆立ちうねっている。

口には人のようで人ではない尖った歯が並んでいる。

顔の左側の燃える3眼がこちらを睨みつけている。

あなたが我にかえった時には、胸を太い触手が貫いていた。

「流石に無礼が過ぎるのではないかね?」

男はそう言って触手を引き抜いた。

鮮血が吹き出し、視界のすべてを赤く染める。

 

14

17

 

あなたは男を放置して、一目散に扉へ向かった。

男は間違いなく追ってくるだろう。

早くこの状況を打開しなければならない。

 

使えそうなものを探す→20

一目散に走る→21

18

ここはやたらと物が多い。

無数の大きな棚の中には、得体の知れない物品がひしめきあっている。

何かの骨、液浸標本、出自不明の置物、きらめく鉱物の類。

あなたは役立ちそうな物を見つけることができた。

どちらを試せばいいだろうか。

 

アンプルに入った液体→22

髑髏が幾つも連なった数珠→23

19

やけに物が多い部屋をいくつか進む。

しかし一向に出口に辿り着かない。

途方に暮れるあなたは、ふと違和感を覚えて立ち止まる。

それは棚に嵌め込まれたガラスに映った自身の姿だった。

私はこのような姿だっただろうか。

髪は部分的に触手に変化し、顔には大きな出来物が育っている。

呆然と見つめている間に、出来物は土栗の如く開き、中から目玉が現れた。

脳に鋭利な痛みが走り、

新たな視覚経路が強引にニューロンを繋ごうとしているのを感じる。

気が遠くなってゆく。

あなたの肉体が、精神が、あなたではなくなってしまう。

 

14

20

 

あなたは逃げながら周囲を探る。

棚が林立し、得体の知れない物品が飾られている。

何かの骨、液浸標本、出自不明の置物、きらめく鉱物の類。

撒き菱程度にはなるかと、刺々しい何かの骨をまとめて掴み取り、男の方に放り投げる。

次の瞬間、あなたの首に触手が巻き付き、強く締め上げられた。

「全く無礼も大概にしてほしい!骨の並びが崩れてしまった!」

そういう男の服の下からは、いくつか触手が這い出し、

空中で受け止めたのであろう骨をその先端部に握っている。

「ここで血を出すと掃除が大変だな…風呂場で処理するか。やれやれ…」

男はあなたを触手で持ち上げ、どこかへ去っていった。

 

14

21

 

あなたは息を切らし全力疾走する。

物が多く、動線が悪い。

疲労でよろめき、棚に肩をぶつけ、何かが落ちて割れる音がする。

その瞬間、後方から吠えるような怒声が飛んだ。

「わたしのコレクションを!許さんぞ!」

あなたは急につまずいて転んだ。

転んだ脚には不気味に蠢く球体が埋まり、

さらに同じものが次々と飛来して喰らいついている。

脚の感覚がなく、立ち上がることができない。

あなたの元へ迫ってくる男だったものを見る。
触手の塊の根本に、無数のぎらつく眼球。

それが明確な殺意を向けて突進してくる。

あなたは断末魔を上げることすら許されず、無数の肉片へとすり潰された。

14

22

 

あなたはアンプルを見つめる。

ラベルに解読可能な情報はなく、液体は薄緑色に濁っている。

一か八かだ。

あなたはアンプルの首を折り、中の液体を飲み干した。

 

24

23

 

あなたは髑髏の数珠を手にはめ、状況の打破を祈った。

そして…一向に何も起こらない。

途方に暮れるあなたは、ふと違和感を覚える。

それは棚に嵌め込まれたガラスに映った自身の姿だった。

私はこのような姿だっただろうか。

髪は部分的に触手に変化し、顔には大きな出来物が育っている。

呆然と見つめている間に、出来物は土栗の如く開き、中から目玉が現れた。

脳に鋭利な痛みが走り、

新たな視覚経路が強引にニューロンを繋ごうとしているのを感じる。

気が遠くなってゆく。

あなたの肉体が、精神が、あなたではなくなってしまう。

 

14

24

液体が全身に行き渡った感覚ののち、頭の内側に鋭い痛みが走る。

頭と顔面、背中から腰にかけてが焼けるように熱い。

不意にえずいて嘔吐する。

吐き出したそれは、極彩色に覆われ蠕動する、種子か胎児のような何かだった。

「ああ、死んでしまったのですね兄弟」

背後からあの男の声がする。

「せっかく融合過程を標本にできると思っていたのに…

まあ、幼生が無傷で取り出せただけいいでしょう。

進行が遅くて助かりましたね、あなたは幸運だ」

少し寂しそうに笑う男を残して、あなたは意識を失った。


気がつくとあなたは、自室の寝具の上にいる。

周囲を見回しても、あの男も、あの部屋の痕跡もない。

どうやら丸一日ほど寝込んでいたようだ。

大型連休の旅行から帰ってきたところで、休みがまだ残っていたおかげで、

仕事をすっぽかさずに済んだ。

知人にそれとなく今回の件について情報を出してみたが、

思い当たる者は誰もいなかった。

左目の下に妙な痒みが残ったが、数日すると治まった。


あれは一体何だったのだろうか。

あなたは不条理な夢を記憶の片隅にしまい、変わらぬ日常を生きていくことだろう。

[END]

Good END! Thank You for Playing!

プリアプリダの午後

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