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アオサギ骨格標本

2015. 6. 21 公開

 

 アオサギの全身骨格標本。デカいというか高さがあるので、引っ越しの折に無理矢理折りたたんで運んだ結果、各所がバラけてしまい、修繕ついでに台座と支持棒をいいやつに換装した。ただの板でなく木製台座、真鍮棒を使うと綺麗に見えるなーというのは、額装で三割増しに見える展覧会の絵のことを思い出させる。

 元となった死体は2012年9月に礼文島で拾ったもの。完全に白骨化していたが、頭部などの羽毛は残っており、コントラストの低い銀灰色から若鳥だったのだろうと思う。海に面した岸壁の岩の影に落ちていて、強い海風に常時晒されるような周囲から守られ吹き飛ばされることなく残っていた。白骨化なので皮が一部残っている程度でほぼバラバラだったが素晴らしく全身が揃っており、拾えなかったのは左肩甲骨・腓骨・跗蹠骨・第4趾3節以降・右第2指と少ない。拾えなかった骨についてはわからないが、その他全身の骨に骨折は認められず、死因はよくわからない。ロケーション的に強風に煽られて岩に激突して死亡、などがありがちっぽいが、それなら骨を折ってそうなので、飢餓状態で荒れた天候が続き動けなくなってそのまま体力尽きて死亡、とかなのだろうかと想像してみたりする。白骨化していると骨取りの手間が省けて良いが、死因考察の材料が少なくなるので一長一短か。

 すべての骨がバラバラのものを立体パズルのように組み立てることとなったが、脊椎に針金通しておおまかにポージング決めたら、あとはホットボンドと要所は針金で素直に組み立ってくれて案外楽だった。大型かつ小さい骨があまりないのであまり細かい作業が必要ないのが大きい。脊椎ラインについては椎孔に捻じり針金通して頭骨と腰骨で留めてるだけで、椎体に穴開けて2軸で固定しようかとも思ったのだが、椎骨の凹凸がはっきりしてて前後で綺麗に噛み合ってくれるので1軸で十分だった。ユーザーフレンドリー骨。前述の拾えなかった骨については、木製の模造パーツを作って組み込んでいる(幸運にも左右どちらかの骨はあったので反転コピーできた)。

 クチバシ長い首長い脚長いの長いづくしでわかりやすく魅力的なフォルム。その体を飛ばすために当然ながら翼も長く強靭。組み立ててワクワクする鳥だった。彼(彼女?)の生に感謝!

 

 そういえばこの死体を拾った旅程を終えて帰宅した日、早速前処理をしてしまおうと思ったんですが、完全白骨化死体だったので単に乾燥させればええやろと、窓際に古新聞を敷いてその上に広げてから就寝し、翌朝床を見ると刺々しいフォルムの赤黒い双翅目幼虫がたくさん這い出て乾燥絶命していた、という事件があったことを思い出しました。一見きれいに肉がなくなり乾燥した白骨死体でも、皮や羽毛の隙間には腐肉を食って終齢まで成長したウジちゃん達が潜んでいるので、面倒臭がらずに一回冷凍庫にブチ込みましょうという教訓でした。

 

プリアプリダの午後

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