アズマヒキガエルの全身骨格標本
2016. 9. 19 公開
今年の春にアズマヒキガエルの死体を拾って全身骨格を作った。最近停滞気味の骨活動の中では気合が入っているもの。肉があるうちに形態観察をしていないがたぶんアズマの方だと思っている。
買ってストックしてあった木製八角形台座と真鍮棒を使った贅沢仕様。いつもの通り入れ歯洗浄剤法の手抜き標本だが、接続がバラバラになる寸前までうまいこと除肉できたため、なかなか見栄えがいい。アフリカツメガエル・エゾアカガエルと同様にやってきた経験が生きたか。所持・作成した骨格標本のなかで最も大きい両生綱であり、初めてのヒキガエル科となった。なお、アフリカツメガエルは作成依頼主宅にあり、エゾアカガエルは枕元に置いていたら寝返りで破壊したため、これら3種の形態比較はできていない。エゾアカガエルの件はタイプしながら思い出して胃が痛くなってきた。
遺体の発見は2016年4月、都内山中にて。山中の小さな河川沿いを歩いていると、繁殖期だったようで多数のアズマヒキガエルが徘徊したり交尾したりしていた。で、パット見の外傷なく死んで空き地に落ちていたのが当該個体。解剖時の写真がなく記憶があやふやだが、確か腹から卵が出てきてメスだなーと思ったような気がするので、彼らの交尾体勢的にオスのハグが強すぎて絞め殺されたとかじゃないかなーということにした。周りを囲んでいるのは同所で拾ったニホンジカの骨、時計回りに頭・頸部・腓・腰。エゾシカはいっぱい持っているが都内産のニホンジカの骨はこれが初めて。部分的だし角もないが頭骨はやっぱり嬉しい。
正中と肢端を工の字に繋ぐ要領で皮を切ると、ペリペリと全身繋げて剥けた。唯一顔面との結合は強いので注意が必要だが、唇と口内の境目にデザインナイフを入れておくとうまいこといきやすいっぽい。よく洗ってから鞣しなしで干した。
中身は粗除肉したらいつも通りの入れ歯洗浄剤漬けと肉取りの繰り返し。平たいタッパーへの収まりがよく、入れ歯洗浄剤が節約できた。
除肉終了したら虫ピンと発泡スチロールを使って姿勢を整え、乾燥。水槽の角を保護する発泡スチロールがいい感じに使えた。
乾燥終了。後肢の足裏が広いしハの字に開くので、前肢なしで自立する。あいつら内臓減らして背筋付ければ二足歩行とか二足跳躍とか可能だと思う。それにしても肋骨がないと横から見たとき貧弱極まりない。
股間を腹面から見ると、板状の出っ張りの部分が左後肢側に歪んでいる。幼体時に歪んだものがそのまま骨化したとかでしょうか。
皮は乾燥させたらライスペーパーそっくりの質感になった。平面化の際にシワが寄った部分はそのまま強固に接着するので、ガマ財布などにする際ははじめからその形で整形乾燥するのが良いだろうという知見が得られました。